限定60部 (3種類のプリント各20部 + 2APs)
*プリント1枚(3種のイメージより1枚選択/作家本人による手焼き、ならびに調色は施されています) / プリントはマットに装着されています。
*収められているプリントのイメージはすべてT&M Projectsの特装版ならびにデラックス版のためだけに制作されています
*署名本1部
*証明書(サインとナンバリングがされています)
*布貼りの特製箱に上記のものが収められています
プリントサイズ:230 x 176 mm (3種すべて同じサイズです)
特製箱のサイズ:328 x 327mm
デザイン:中島雄太
箱制作:有限会社篠原紙工
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山本昌男は長年のキャリアのなかで、身近な動物や植物、風景等、日常誰もが目にする自然のありさまや、見過ごされそうな小さなものを大切にすくいあげる作品を発表してきました。それらの写真は、超絶的といわれるモノクロ技法により、繊細な息づかいと緊張感を孕んだ美へと醸造されています。
「手中一滴」は、日本の伝統美ともいえる盆栽を撮影したシリーズとなり、小さな鉢のなかで、人の手と水によってのみ生きる盆栽を、八ヶ岳や富士山麓の雄大な風景の中に置いた写真です。タイトル「手中一滴」とは、山本による造語で、「一滴の露にも宇宙が宿る」という禅の教えに基づいています。山本の写真も盆栽も、人が自然と向き合う中に、人の手から絞り出されるように生まれた作品です。そこには人と作品と自然が織りなす究極の美を追求した世界があります。そして、小さな盆栽が象徴する小宇宙に大宇宙が凝縮された世界&mdash&mdashその本質を「手中一滴」という独自の言葉に表したのです。
本写真集は、製本所・博勝堂の職人たちによって一冊一冊和綴じで製本され、特製のスリーブケースに納められています。
日本の美意識を凝縮した「盆栽」を山本が写真で表現した作品を、日本で昔からある製本技術とともに現代的なデザインや素材で写真集というかたちに仕上げました 。
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山本昌男(やまもと まさお)
1957年、愛知県蒲郡市に生まれる。祖父は寺の鐘撞堂の彫刻を請け負うほどの名大工。代々建築に携わる家系に生まれ、”ものつくり”が日常の環境で育つ。それ故、美を追求することが自分の生きる意味であると感覚的に掴んでいた。16歳でカメラを購入して撮影を始める。その後、油絵にも取り組むが、最終的な表現手段として写真を選ぶ。1993年、写真作品の発表を始めるとすぐに、アメリカより来日したディーラーによりアメリカ各地の画廊へ作品が紹介され、1994年サンフランシスコでの初個展を皮切りに、欧米各地での発表を活発に行っている。作品は、ゼラチン・シルバー・プリント技法が中心。古写真のような色合いと質感は、日本人ならではの精神性、美意識と高く 評価され、ニューヨーク・タイムズ他、欧米のアート誌などのメディアへも多数掲載されている。2007年、横浜市より山梨県北杜市に移住。アメリカのNazraeli Pressより写真集『空の箱』(1998)、『中空』(2001)、『わかばのみち』(2002)、『オオミズアオ』(2003)、『ゑ』(2005)などを刊行。2014年、作家活動40年の集大成となる写真集『小さきもの、沈黙の中で Small Things in Silence』を出版。2018年、モスクワのマルチメディアアート美術館にて開催された「Yamamoto Masao. Photography」展には、2ヵ月間に約48万人が訪れた。海外のアート・コレクターに多くのファンを持つ。2019年10月より国内美術館初となる個展「手中一滴」を開催。